税理士の年収について考える際に大きなポイントとなるのが、「開業税理士(独立して自分の事務所を持つ税理士)」と「雇われ税理士(税理士法人や会計事務所に勤務する税理士)」の違いです。同じ「税理士」という資格を持っていても、その働き方や収入の仕組みは大きく異なり、年収にも明確な差が生まれます。以下に、それぞれの特徴と年収の違いについて詳しく解説します。
■ 雇われ税理士の年収:安定だが上限が見えやすい
雇われ税理士とは、税理士法人や会計事務所に勤務し、社員や職員として給料を得ている立場の税理士です。勤務税理士とも呼ばれます。
◎ 年収の目安
- 初任給(資格取得直後)で 400万円〜500万円前後
- 経験5〜10年クラスで 600万円〜800万円
- 大手税理士法人のパートナー職(社員税理士)で 1,000万円超 もあり得る
ただし、中小の会計事務所に勤務している場合、昇給幅が小さく、年収600万円台で頭打ちになるケースもあります。いわゆる「税務の職人」として働く分には安定はしていますが、自分の売上がそのまま収入になるわけではないため、限界もあります。
◎ メリット・デメリット
- 【メリット】
- 毎月決まった給料がもらえるため収入が安定している
- 社会保険や福利厚生が整っていることが多い
- 営業や事業運営に煩わされることが少ない
- 【デメリット】
- どれだけ働いても収入には限界がある
- クライアントを自分で獲得する力が付きにくい
- 独立開業を目指す場合には転職や修行が必要になることもある
■ 開業税理士の年収:実力次第で青天井、ただしリスクも大きい
開業税理士とは、自分自身で税理士事務所を開き、クライアントから直接報酬を受け取る立場の税理士です。税理士業界で「年収1,000万円超」や「年収2,000万円、3,000万円超」などの高収入を得ている人の多くは、この開業税理士です。
◎ 年収の目安
- 開業初期(顧客ゼロからスタート)では 200万円〜400万円 と低水準もあり得る
- 3〜5年で安定すれば 600万円〜1,000万円前後 に成長するケースが多い
- 10年クラスで 年収1,500万円〜2,000万円以上 も十分可能
- 成功すれば 年商5,000万円超→年収3,000万円超 も珍しくない
ただし、開業してもすぐに顧客が付くとは限らず、立ち上げ期は収入が不安定で赤字に陥ることもあります。経営者である以上、営業力・経営力・人材マネジメントなどの総合力が問われます。
◎ メリット・デメリット
- 【メリット】
- 自分の努力がそのまま収入に反映される
- 得意分野(相続、医療、法人税など)に特化して自由に展開できる
- 事務所を拡大すれば「ビジネスオーナー」として収入の上限がなくなる
- 【デメリット】
- 営業や顧客対応、スタッフ管理など、仕事の幅が広く多忙
- 収入が不安定になる時期がある(特に開業初期)
- 税理士業界は競争が激しく、価格競争に巻き込まれるリスクもある
■ 東大阪における開業と勤務の実情
東大阪のような中小企業が密集する地域では、開業税理士にとってはクライアント獲得のチャンスが多い反面、すでに多くの税理士が地元に根を張っているため**「後発組」にとっては営業力が試される市場**でもあります。
勤務税理士であっても、地域密着型の会計事務所に勤めることで、地場産業との接点が増え、将来の独立開業につなげやすいという利点もあります。
■ まとめ:安定の雇われか、挑戦の開業か
項目 | 雇われ税理士 | 開業税理士 |
---|---|---|
年収 | 400万〜800万(上限あり) | 0〜3,000万超(実力次第) |
安定性 | 高い | 低い(特に初期) |
自由度 | 低い | 高い(営業・方針を決められる) |
必要なスキル | 税務処理能力 | 税務+営業+経営力 |
税理士という資格は「取得後のキャリア設計」で大きく人生が変わる職業です。安定志向なら勤務税理士として専門性を高める道があり、挑戦志向なら開業して高収入を目指す道もあります。
自分の性格やライフスタイル、将来的なビジョンに合わせて、どちらの働き方が合っているかを見極めることが、税理士としての成功には欠かせません。